「日本交通 × find」からみる生成AIを活かした生産性向上&パフォーマンス事例
- 山崎 広治
- 2 時間前
- 読了時間: 5分
はじめに─生成AIは現場の“もったいない”を変えられるのか?
「人と組織のパフォーマンス × 生成AI」─このテーマのもと、最近さまざまな企業の現場改革事例を見てきました。その中で、特に注目すべき成功例として今回ご紹介したいのが、日本交通が全社導入した『落とし物クラウド find(ファインド)』 です。
AIやDXと聞くと、どうしても「IT部門の話」「大企業の話」と捉えられがちですが、実際にはもっと身近な課題──つまり「現場の非効率」を変える力こそが、生成AIの本質です。
タクシーにおける“忘れ物対応”という、一見すると地味な業務。
ですが、その裏には人手・時間・ストレスといった大きな負担が存在し、組織全体のパフォーマンスに影響していました。
そこに生成AIを導入することで、どれだけのインパクトが生まれたのか?今回は『find』 という仕組みを軸に、詳細に掘り下げていきます。

日本交通が全社導入──パフォーマンス向上の本質とは?
2024年、日本交通はタクシー8,000台に『find』を全社導入しました。これはタクシー業界としては異例の規模であり、まさに業界のDXを象徴するような取り組みとなっています。
では、具体的に何が変わったのか?成果は以下のとおりです
毎月3,000件の問い合わせに対する対応が大幅に効率化
電話応対件数の削減により、数百時間の人的工数を削減
拾得物登録にかかる作業時間が10分の1に短縮
顧客対応の質が均一化され、CS(顧客満足度)が向上
現場スタッフや乗務員が「本来の業務=安全運転・接客」に集中できる環境が実現
このように、目に見えにくい“裏方業務”をAIに置き換えることで、現場のモチベーションと集中力がアップ。結果的に、組織全体のパフォーマンス向上につながったのです。
また、これは単なる業務効率化ではありません。「スタッフが人として価値を発揮できる業務に集中できる環境をつくる」─これこそが、生成AI導入の本質であり、現場の力を引き出すための鍵となります。

メディアでも話題──『AKB48が突撃!』で全国に広がったDXのリアリティ
『find』の取り組みは、ビジネスメディアだけでなく一般の視聴者にも届きはじめています。2025年6月1日、テレビ東京で放送された『AKB48が突撃!お宅で1番のDXはなんですか?』という番組では、AKB48のメンバーが日本交通の営業所を訪れ、『find』の仕組みを体験しました。
実際の放送では、
忘れ物をスマホで撮影し、AIが自動分類
LINE公式アカウント「find chat」を使った問い合わせ体験
…といった流れが紹介され、出演者たちは「すごい!」「こんなに簡単にできるの?」というリアクション。
こうしたメディア露出の意義は大きく、「DXは難しそう」という先入観を打ち砕き、「自社でもできるかも」と感じてもらえるきっかけになります。特に中小企業やローカルな現場にとって、導入事例の“リアルさ”は心理的ハードルを下げる重要な要素なのです。
また、DX推進が「現場のため」であることを、エンタメの文脈でも伝えられるようになったのは、時代の変化を象徴しています。

忘れ物対応から見える、生成AI導入の哲学
この事例を通じて強く感じるのは、生成AIの活用において大切なのは「技術の高さ」ではなく、「業務の再設計」であるということです。
生成AIは、複雑な経営判断やマーケティングに使うだけのものではありません。むしろ、日々の繰り返し業務、人的リソースを過剰に割いている“現場のルーティン”こそ、AI導入の最初の一歩にふさわしいのです。
特に、以下のような視点が重要です
人がやらなくてもいい仕事は、AIに任せる
人がやるべき仕事に、集中できる仕組みを作る
属人化やストレスの温床となる業務を可視化・共有化する
この“分担”ができて初めて、AIは人間のパフォーマンスを押し上げる存在になります。
忘れ物対応のような地味な業務をAIが担うことで、スタッフは「ありがとう」と感謝される業務に注力できる。その結果、現場が笑顔になり、サービス品質も上がり、企業の信頼が高まる。
まさに、生成AIが組織の「人間らしさ」を引き出すための補助線になる。
そんな気づきを与えてくれる事例です。

まとめ──現場から始まる、生成AIの本質的な活用
今回は、日本交通が全社で導入した『落とし物クラウド find』の事例を通じて、生成AIがいかに“現場の課題”を変革できるかをご紹介しました。
あらためて整理すると、『find』の導入は次のような価値を生み出しています
本業ではない付帯業務を、AIによって削減・自動化
現場スタッフが本来の役割に集中できる環境を整備
顧客対応の質とスピードが向上し、CSと業務効率を同時に改善
DXを“日常業務の中に溶け込ませる”ことに成功
一般メディアでの認知も広がり、社会的信頼性もアップ
「生成AIを活用して人と組織のパフォーマンスを最大化する」─このテーマは決して抽象的ではありません。むしろ、毎日行われている繰り返し業務や“もったいない”を見直すことから始まる、極めて現実的な取り組みなのです。
今後も業界における生成AIを活用した人と組織の生産性&パフォーマンスアップの事例をお伝えをしていけたらと思います。
📌 参考リンク:
find 公式サイト https://service.finds.co.jp/
日本交通プレスリリース
Chizaizukan 記事 https://chizaizukan.com/news/1Lp43zBOBabsLkWGgvOMHY/
テレビ東京 番組ページ https://www.tv-tokyo.co.jp/bestdx/
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