ZEROCOが守っていたのは、野菜だけではない|「食」から考える健康経営とウェルビーイング

はじめに
味や品質に問題がない野菜でも、採れすぎによる価格下落、猛暑や豪雨、災害による物流停止などによって、行き場を失い、廃棄されてしまうことがあります。農産物は収穫した瞬間から鮮度が落ちていくため、「売れる時期まで待つ」ことが簡単ではないからです。
今回取り上げるのは、農業の課題に「保存する時間」という新しい選択肢を生み出すZEROCO(ゼロコ)です。約0℃の低温と高い湿度を組み合わせ、食材の水分を保ちながら鮮度を長持ちさせる、冷蔵でも冷凍でもない「第三の保存方法」です。
私は以前から展示会でZEROCOの実物を見て、担当者の方から説明を伺っていました。テレビ東京『ガイアの夜明け』で熊本地震後の農家を支える取り組みを見たとき、この技術が守っているのは野菜の鮮度だけではないと、改めて感じました。

1.なぜ、おいしい野菜が捨てられるのか
1-1.豊作でも農家が苦しくなる「豊作貧乏」
農業には、たくさん採れれば必ず豊かになるとは限らない難しさがあります。一度に多くの農産物が市場へ出ると価格が大きく下がり、せっかく豊作になっても出荷費用すら回収できないことがあります。
反対に、猛暑や豪雨で収穫量が減れば、生産者の収入だけでなく、消費者が購入する価格にも影響します。採れすぎても困り、採れなくても困る。これが農業のジレンマです。

1-2.農産物は「待ってくれない」
この問題の背景には、農産物を良い状態のまま、必要とされる時期まで保存することの難しさがあります。収穫後は時間とともに鮮度が落ちるため、物流や販売先が止まれば、売りたくても売れないまま廃棄せざるを得ません。
災害時には、この時間の制約がさらに厳しくなります。生産者が立て直しを図る間にも、農産物の劣化は進んでしまいます。

2.農業に「時間」を生み出すZEROCO
2-1.冷蔵でも冷凍でもない、第三の保存方法
一般的な冷蔵では食材の水分が抜けやすく、冷凍では細胞が壊れて食感や風味が変わることがあります。ZEROCOは、約0℃の低温と高い湿度を組み合わせ、食材の水分を保ちながら鮮度を長く維持することを目指します。
単に温度を下げるのではなく、食材を取り巻く保存環境全体を整えるところに特徴があります。

2-2.熊本地震で守ったもの
熊本地震の影響で出荷先を失った農家から、行き場を失った農産物を保存してほしいという声が寄せられました。その受け皿となったZEROCOが守ったのは、野菜の鮮度だけではありません。
生産者の収入、これまで積み重ねてきた仕事、そして被災した状況でも前を向くための希望。保存によって生まれる時間は、農家が次の一手を考えるための猶予にもなります。

2-3.農業に「在庫を持つ」という選択肢
収穫した農産物を良い状態で保存し、必要な時期に出荷できれば、生産者は販売するタイミングを選べるようになります。市場への供給量を調整し、急激な値崩れを抑えられる可能性もあります。
ZEROCOは、農業に「在庫を持つ」という選択肢を生み出し、生産者が価格と出荷時期に振り回されにくい仕組みを支える技術でもあるのです。

3.「食」から考える企業の健康経営
3-1.社員のパフォーマンスは毎日の食事からつくられる
健康経営というと、健康診断、運動イベント、ストレスチェックなどを思い浮かべるかもしれません。もちろん、どれも大切です。しかし、社員が毎日良いコンディションで働くためには、日々の食事も欠かせません。
食生活が乱れ、疲労や集中力の低下が続けば、本来持っている力を十分に発揮することは難しくなります。企業には社員へ健康を求めるだけでなく、健康的な選択をしやすい環境をつくる視点が必要です。

3-2.鮮度の高い地域の野菜をオフィスの日常へ
例えば、ZEROCOで鮮度を保った地域の農産物を、社員食堂や社内カフェ、オフィスへ届ける。サラダやスープとして提供したり、社員が家庭へ持ち帰れる仕組みをつくったりすることが考えられます。
社員が「毎日の食事」を無理なく整えられる環境は、単発イベントよりも継続的な健康づくりにつながります。

3-3.野菜を配って終わらせない仕組みづくり
野菜を配るだけでなく、食生活の簡単な診断、管理栄養士によるセミナー、野菜を使ったレシピ、一定期間の食生活改善プログラムなどを組み合わせます。そして、実施前後で食行動やコンディションがどう変わったのかを確認します。
ここまで設計すれば、単なる福利厚生ではなく、社員のパフォーマンスを支える健康経営施策になります。

4.一つの取り組みから複数の価値を生み出す
4-1.社員の健康と生産者支援を一つにつなぐ
災害や供給過多で販路を失った農産物をZEROCOで保存し、賛同する企業が購入する。社員食堂やオフィスで提供し、その産地や生産者の背景も社員へ伝える。生産者との交流や農業体験、食やフードロスを学ぶ研修まで組み合わせれば、一つの取り組みから複数の価値が生まれます。
社員の食生活と健康を支え、生産者の収入と仕事を支え、農産物の廃棄を減らし、社員が地域や社会とのつながりを実感できる。企業にとっては、健康経営、人的資本、地域貢献、ESGをつなぐ取り組みになります。

4-2.持続可能な関係を設計する「Organic Design」
私が考えるOrganic Designとは、栽培方法だけを指す言葉ではありません。生産者、流通、企業、社員、消費者、地域、そして自然環境が、無理なく持続できる関係を設計することです。
農産物を長く保存し、必要な人へ必要な時期に届ける。社員が食べて健康になり、企業が生産者や地域を支える。廃棄が減り、環境負荷も小さくなる。この循環をつくることがOrganic Designです。

4-3.食を経営戦略へ
食は福利厚生の一項目ではなく、人と組織、地域、地球のウェルビーイングをつなぐ経営戦略になり得ます。社員が実際に食べ、つくった人を知り、自分の健康と農業や地域の課題がつながっていることを体験することが重要です。
「社員のための健康施策」と「地域や生産者のための支援」を別々にせず、一つの持続可能な仕組みとして運用することが、企業の新しい価値につながります。

まとめ
ZEROCOが生み出しているのは、保存期間の長さだけではありません。時間が生まれることで、農家は売る時期を選べます。災害時には立て直すまでの猶予が生まれ、企業は生産者を支えながら社員の健康にも取り組めます。
ZEROCOが守っていたのは、野菜だけではありません。生産者の仕事と希望、地域の食、社員の健康、そして人と地球がともに健康であり続けるための可能性です。
皆さんの会社でも、健康経営を健康診断や運動だけで考えるのではなく、「社員が毎日何を食べているのか」という視点から見直してみてはいかがでしょうか。

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参考情報
・テレビ東京「ガイアの夜明け」ZEROCO関連回
・ZEROCOの展示・担当者説明をもとに構成
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の健康状態に関する医学的な診断・治療を代替するものではありません。

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