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オーガニックは福利厚生ではない|「食」から始める健康経営と組織パフォーマンス

執筆者の写真: 山崎 広治
山崎 広治
3 日前
読了時間: 8分

社員の健康施策というと、健康診断、ストレスチェック、運動、睡眠改善などを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、私たちが毎日必ず行っているにもかかわらず、企業の健康経営ではまだ十分に戦略化されていないものがあります。それが「食べること」です。

オーガニックを単なる福利厚生で終わらせず、健康・組織のパフォーマンス・Well-being・ESG、そして企業価値までをつなぐ。この記事では、その考え方と実践方法を整理します。



はじめに

社員は、1日の多くを会社や仕事に関係する環境の中で過ごします。昼食に何を選ぶのか。オフィスで何を飲むのか。間食として何を口にするのか。会議やイベントでどのような食べ物が提供されるのか。こうした小さな選択の積み重ねが、社員の身体と日々のコンディションをつくっています。

食事は、病気を予防するためだけのものではありません。集中力、活力、仕事への意欲など、社員がより良い状態で働くための土台でもあります。

今回注目するのは「オーガニック」という考え方です。ただし、オーガニック食品を食べれば必ず健康になる、という単純な話ではありません。オーガニックを入口に、食の質、自分の身体、生産者、農業、環境、そして会社と社会のつながりまで考えることが重要です。






1.なぜ今、健康経営に「食」の視点が必要なのか

1-1.食事は組織パフォーマンスの土台

健康経営とは、社員を病気にしないためだけの取り組みではありません。社員の健康を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。

どれだけ優秀な人材を採用しても、毎日疲れている。どれだけ良い制度を整えても、社員の心と身体に余裕がない。睡眠不足や慢性的な疲労で集中力や判断力が落ちている。そのような状態では、組織が持続的に高いパフォーマンスを発揮することは難しくなります。

健康 → コンディション → 個人のパフォーマンス → 組織のパフォーマンス

この流れを一つにつなげて考えると、毎日の食事が組織づくりの土台であることが見えてきます。



1-2.「何を食べるか」だけでなく、食の質を考える

健康的な食事というと、野菜、タンパク質、糖質、脂質といった栄養素に注目しがちです。もちろん、それらは重要です。しかし、もう一歩踏み込むと、「その食べ物が、どこで、誰によって、どのようにつくられたのか」という視点があります。

そこで出てくる選択肢の一つがオーガニックです。ただし、オーガニックだから必ず栄養価が高い、オーガニックを食べれば病気にならない、と単純化することはできません。

大切なのは、オーガニックをきっかけに、自分が毎日何を食べているのか、食材がどこから来たのか、自分の身体と普段の食事にどのような関係があるのかを考えることです。オーガニックを、食の質と食習慣への意識を高める「学びの入口」として活用します。



1-3.食を福利厚生からパフォーマンス戦略へ

健康的なランチを提供する。オーガニック野菜を取り入れる。オフィスのお菓子を見直す。質の良いコーヒーや飲料を用意する。一見すると、どれも福利厚生に見えます。

しかし、目的を「社員に喜んでもらうため」だけでなく、「社員がより良いコンディションで働ける環境をつくるため」と置き直すと、その意味は変わります。

さらに、生産者の話を聞く、食材がつくられる背景を知る、自分の食習慣を振り返る機会を加えれば、社員のヘルスリテラシー向上にもつながります。会社が食べるものを一方的に決めるのではなく、社員自身がより良い選択をできる環境を整えることが、食を活用した健康経営の本質です。




2.オーガニックを組織づくりへ広げる3つの実践

2-1.オフィスの「食環境」をデザインする

まずは、社員が日常的に接する食環境を見直します。オフィスに置く飲料、会議で提供する飲み物、社員向けの軽食、社内イベントの食事、会社で購入するコーヒーなど、小さなところから始められます。

例えば、コーヒーをオーガニックやフェアトレードの商品へ変更するだけなら、福利厚生で終わります。そこで「なぜ、このコーヒーを選んだのか」まで社員へ伝えます。生産地や生産者、オーガニック、フェアトレード、環境や労働との関係まで知ることで、いつもの一杯が健康や社会、環境を学ぶ入口になります。

会社の環境そのものを、社員が自然により良い選択をし、健康と社会について考えられる場所へ変える。これもWell-beingな職場環境のデザインです。【画像:2-1】



2-2.農業体験をWell-being型オフサイト研修にする

普段はパソコンに向かっている社員が農園へ行き、土に触れ、身体を動かし、野菜を収穫し、生産者から話を聞き、同僚と一緒に作業する。設計次第では、農業体験は単なるレクリエーションではなくなります。

Well-being × チームビルディング × 食育 × 環境教育

部署や役職に関係なく同じ作業を行う非日常の共同体験は、普段とは違うコミュニケーションを生みます。そして体験後に、「チームについて何を感じたか」「普段の職場と何が違ったか」「自分たちの仕事に置き換えると何が言えるか」と振り返る。ここまで設計することで、農業体験が組織開発プログラムへ変わります。【画像:2-2】




2-3.一杯のコーヒーから健康とESGを学ぶ

より手軽に始めるなら、オーガニック&フェアトレードコーヒーの社内試飲会も一つの方法です。数種類のコーヒーを飲み比べながら、オーガニック、フェアトレード、生産地や生産者、農業や環境について学びます。

「ESGについて勉強しましょう」と言われると難しく感じても、「3種類のコーヒーを飲み比べてみましょう」なら参加しやすくなります。その一杯の背景をたどると、農業、気候変動、生物多様性、労働環境、生産者の生活、健康、そして私たちの消費行動まで、さまざまなテーマにつながります。

これは「体験してから学ぶESG」です。難しいテーマを身近な体験から自分ごと化できる




3.「人の健康」と「地球の健康」を経営につなげる

3-1.Human HealthとPlanetary Healthを分けて考えない

オーガニックについて考えていくと、人の健康だけでは終わりません。土壌、水、生物多様性、農薬や肥料、エネルギー、気候変動など、農業や漁業を持続させるための環境課題につながります。

健康な土壌、豊かな海、多様な生物、農業や漁業を続けられる環境、そして食べ物をつくる人がいる。その結果として、私たちは毎日食べることができます。

人間の健康と地球環境の健康は、別々の問題ではありません。これからの健康経営には、Human HealthとPlanetary Healthを一つのつながりとして捉える視点が求められます。





3-2.「食」は健康経営とESGをつなぐ接点

持続可能な食やオーガニックを企業として取り入れることは、ESGの各領域につながります。

  • E(環境):環境負荷、生物多様性、持続可能な農業

  • S(社会):社員の健康、生産者、労働環境、フェアトレード

  • G(ガバナンス):方針、調達基準、社員教育、KPI、情報開示

社員の健康への投資と、社会や環境への取り組みを別々に進める必要はありません。「食」という身近なテーマから、健康経営、Well-being、ESGを一つのストーリーとしてつなぐことで、その企業らしいサステナビリティ経営が見えてきます。





3-3.イベントで終わらせず、企業文化にする

コーヒーの試飲会を一度行った、農業体験へ一度行った、社員食堂にオーガニック食品を導入した。それだけでESG経営が実現するわけではありません。重要なのは、「なぜ、その取り組みをするのか」です。

社員と家族の健康を大切にする。生産者を大切にする。地域とともに成長する。環境に配慮した選択をする。こうした会社の価値観を、社員食堂、オフィス、研修、調達、福利厚生、社内イベント、地域連携、サステナビリティ活動へ一貫して反映させます。

さらに、参加率、社員の意識や健康行動の変化、エンゲージメント、持続可能な調達比率、生産者や地域との連携実績など、自社の目的に合う指標を設定します。

実践 → 測定 → 改善 → 発信

この循環を回すことで、単発イベントが企業文化と経営戦略へ変わり、採用、ブランディング、人的資本、サステナビリティ、企業価値にもつながっていきます。






まとめ

オーガニックというテーマから、食、健康、コンディション、パフォーマンス、組織、Well-being、農業、環境、ESG、企業価値まで話を広げてきました。一見すると別々に見えるテーマですが、すべてはつながっています。

Organic → Human Health → Human Performance → Organizational Well-being → ESG / Sustainability → Corporate & Social Value

オーガニックはゴールではありません。健康、食、生産者、地球環境について考える入口です。一杯のコーヒー、一つの野菜といった小さな選択が社員の意識を変え、組織を変え、企業の行動を変えていくかもしれません。

人の健康と、地球の健康を、一つのデザインとして考える。これからの健康経営には、そんな視点が必要ではないでしょうか。【画像:SUMMARY】


【動画解説版】





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参照サイト

経済産業省「健康経営」関連情報

農林水産省「有機農業・有機食品」関連情報

FAO(国連食糧農業機関)Organic Agriculture関連情報

※健康効果に関する表現は、公開時点の研究および公的情報に基づいてご確認ください。

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